世界中の笑顔につながる『ママの笑顔』

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 こんにちは。マミースマイル保育園を運営している雁瀬暁子です。マミースマイル保育園は、『専業主婦のため』に作った保育園です。『ちょっとだけママを休もう』をコンセプトに、おもに育児疲れで心身に支障をきたしている…または、きたしそうになっているお母さんに利用してもらうために10年前に創設しました。
 「マミースマイル」という保育園の名前は、ママに笑顔(スマイル)でいてほしいという願いを込めてつけました。働いて外に出るママも増えたけれど、それでもまだ3歳未満の母親の半数は専業主婦。おうちにいるママが笑顔でいれば→子どもも笑顔でいられるし→パパも笑顔になる。外で働くパパが笑顔でいられれば→仕事にもやる気が出て、成果を出せる→会社がもうかる→同僚も上司も社長サンも笑顔になる→その周りのみんなが笑顔になる。  というわけで、一人ひとりの母親が笑顔でいることは、巡りめぐって世界中の人が笑顔になる。つまり世界平和のために大事なことなのです(笑)。

第3の居場所を作りましょう

 この笑顔の好循環(私は『ハッピースマイルサイクル』と呼んでいます)を実現するためにも、私は、専業主婦のお母さんがちょっとだけ子どもと離れて『ママじゃない自分』の時間を過ごしてほしいなと思うのですね。家族とだけ、ママ友とだけの時間から解放されて、第3の居場所を持つことは、ママが笑顔になるために大切なことだと思うのです。そして第3の居場所は、休憩してリフレッシュするだけじゃなく、趣味のサークルや、地域のボランティアや、お仕事をして収入を得るという方法もアリだと思います。つまり、新しい人間関係を作るということ。「いやいや、ひとつの人間関係だけでも気を使って疲れるのに、新しい人間関係を作るのは怖いし不安」と思う人もいるかもしれません。でも一つの人間関係だけに縛られていると、そこから抜けたくても抜けられない辛さも生まれます。自分の居場所はたくさん作っておくほうが、心の安定を得られるのではないでしょうか。

再び働き始めるとき

 マミースマイルも、開業から10年。社会の変化とともに、小さい子どもを持つ方々の様子も少しずつ変わってきました。まずは、子どもを預けることに抵抗感や罪悪感を持つ人が減りました。「お仕事をしていないのに子どもを預けてもいいの?」「子どもをみる人がいるのに、なぜ預ける必要があるの?」という人が少なくなり、マミースマイルの存在を理解してくれる人が増えました。『ワークライフバランス』という概念が浸透してきて、女性が子育てと仕事を両立させるために国や企業が大きく支援を始めだしました。10年前と比べると、大きな進歩です。 そのせいか、マミースマイルの利用者も、専業主婦だけでなく、子育てを中心にしながらも短い時間で有償労働をしているお母さんが増えてきました。自営業やフリーランス、または『週に2~3回10時から14時まで』というようなパートタイム就労のお母さんです。 時代の流れが急速に変化している昨今、子育てに専念する時間が長くなってくると、ビジネスに復帰する自信が大幅にダウンしてしまい、仕事を始めたいと思うほど、逆に就労への意欲がなくなってしまう場合があります。そういう場合は、いきなりフルタイム就労ではなく、パートタイム就労という働き方からスタートするのもおすすめです。「一時預かり保育なら自由な預け方が可能なので、ちょっとずつビジネス社会に慣れていける」と言ってくださる利用者もいらっしゃいます。いきなりフルタイムで働く自信がない方は、子どもが高校生くらいになって本格的にお金が必要になってくる頃までにフルタイム就労を目指して、最初はパートタイム就労というやり方でもいいかもしれません。一気に高い山を目指して躊躇して、一歩も踏み出さないより、ずっと近道かもしれません。
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子育て経験に自信をもって

 ずっと専業主婦でいたいと思う人はそれでいいと思いますが、実際に子どもがいる専業主婦のうち働きたいと思っている人は約8割(リクルートジョブズ平成25年調査)だそうです。「働きたいけど働けない」のは、『保育所が足りない』とか『育児と両立できる条件の職場がない』といった社会的要因もあるかもしれませんが、働きたい母親自身の就労意欲そのものにも要因があります。その中心にあるのは、女性特有の自信のなさではないかと私は思います。つまり、自分の考え方さえ変えることができればクリアできる問題です。 私はそんなお母さんたちに、子育ては『キャリアブランク』じゃないということをお伝えしています。むしろ「子育て経験は最大の強みなんですよ。自信をもってください」と申し上げます。ビジネスに生かせるスキルは、子育ての中でたくさん培われています。例えば『衣・食・住における生活者としての視点』とか『計画通りに行かない時間を柔軟にこなす時間管理能力』とか『先を読み取る危機管理能力』などなど。私自身は、とてもせっかちで怒りっぽかったのが、年子の二人の子育てをしてかなり気が長く穏やかになりました。そして、言葉も話せない小さな怪獣たちに振り回されることで「やりたいことは、自分の主体性と努力さえあれば、ほぼ何でも実現・解決できる」と思っていた若い自分の傲慢さを知り、他人に対して寛容になったと感じます(笑)。

働くママの後ろ姿は何よりの『キャリア教育』

「働きたいけど自信がない」「周りに反対されている」「忙しくて子どもにかまってあげられるかな?」なんて就職活動を始めることになんかモヤモヤしているお母さん。いろんなことを考えて初めから慎重にならなくても、大丈夫。やり直しは何度でもききます。一度やってみて、うまくいかなければまた方法を考えればいい。失敗は成功するためにあるって、昔から言うでしょ(笑)。とりあえず、何でもいいから一歩踏み出してみましょう。 もちろん、仕事を始めたら家族の協力は必要になってきますが、負担をかけるばかりじゃない。そのことで夫婦や親子のきずなが深まったり、成長につながったりすることも多いんですよ。何よりも、お母さんが前向きに挑戦している姿を子どもに見せることは、子どもの仕事観にもつながり、何よりの『キャリア教育』になることだと思います。だって、子どもはいきいきと過ごしているお母さんの笑顔が一番好きなんです。無意識のうちに作り上げた『いいお母さん像』に縛られて苦しくなっていませんか?子どもは、自分らしく笑っているお母さんが大好きなんですよ。
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雁瀬 暁子(がんせあきこ)
 (株)マミースマイル 代表取締役社長
ワークライフバランス研究所 代表
福岡市男女共同参画推進サポーター


夫、高3長女、高2長男の4人家族。
福岡市一時預かり事業受託保育園「マミースマイル」創業者兼代表取締役。専業主婦のための保育園として開業し、年間延べ2,000人の育児中の母親と直に接し、育児や夫婦関係・再就職や仕事との両立の悩みなどの相談に応じる中で、ワーク・ライフバランスの必要性を感じる。
変化の激しい時代の中で、家族や夫婦のあり方、育児や介護などで時間の制約のある人の働き方などについてデータを示しながら、男女共同参画やワーク・ライフバランス、少子高齢化問題などの講演活動を行っている。